【コラム】ソラ(ミックス犬)と私——保護犬・殺処分の現状を考える
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【コラム】ソラ(ミックス犬)と私——保護犬・殺処分の現状を考える

山田 秀和
2026年5月22日

「ソラ」は、私が8年前に出会った一匹のミックス犬です。

彼女は、保健所が収容した野犬の子供で、雑種というだけの理由で、多くの人の目に留まることはありませんでした。毛色は茶色と白のミックス。目は大きく、どこか人を恐れながらも、信じたいと訴えかけるような、切ない瞳をしていました。

初めて会った日、ソラはケージの奥で小さく丸まっていました。他の犬が吠える中、彼女だけは声を上げず、ただじっと私を見ていました。私が指を差し出すと、恐る恐る近づき、小さな舌で舐めてきました。その温かい感触が、私の心を揺さぶりました。

「この子は、誰かに必要とされるべき命だ」と、強く感じた瞬間でした。

日本の保護犬・殺処分の現状

ソラを迎え入れた後、私は日本の保護犬問題の実態を知り、衝撃を受けました。

環境省の調査によると、2024年度には全国の保健所などで約4万頭の犬が収容され、そのうち約1万頭が殺処分されています。つまり、収容された犬の4頭に1頭が、新しい家族を待つ間もなく、命を落としているのです。

猫の場合はさらに深刻で、同年約5万頭が収容され、そのうち約3万頭が殺処分されています。殺処分率は約60%に達し、犬よりもはるかに厳しい状況にあります。

これらの数字は、単なる統計ではありません。一つひとつが、生きた命の物語です。

なぜ、殺処分はなくならないのか

殺処分が続く根本的な原因は、複数重なり合っています。

1. 飼育放棄の連鎖

「可愛いから」という軽い気持ちで飼い始め、引っ越しや出産、病気などの理由で「手放す」人が後を絶ちません。ペットショップやブリーダーによる過剰繁殖も、供給を増やし、廃棄を常態化させています。

2. 行政の収容能力の限界

保健所の収容施設は限られたスペースと予算で運営されており、長期間の保護が困難な場合が多いです。獣医師や専門家の配置も不足しており、犬の心身の状態を整えて譲渡に至るプロセスが十分に行われない現実があります。

3. 里親制度の未発達

欧米の先進国では、民間の保護団体が行政と連携し、里親マッチングや一時預かり、譲渡前のしつけなどを包括的に行う仕組みが成熟しています。しかし日本では、民間団体の活動が十分に支援・統合されておらず、個々の団体が限られた資源で必死に活動しているのが現状です。

4. 「雑種」への偏見

ソラのように、血統書のないミックス犬は、純血種に比べて譲渡される確率が著しく低いです。ブリーダーやペットショップが「純血種の価値」を過大に宣伝し、雑種が「価値がない」という偏見が根付いていることも、問題の一因です。

私たちがすべきこと

私は、不動産のプロフェッショナルとして、そして一人の動物愛護家として、以下の提議を行いたいと思います。

1. 飼育前教育の義務化と繁殖規制の強化

ペットを飼う前に、命の重みや責任の範囲を学ぶ機会を設けるべきです。また、商業目的の繁殖を規制し、過剰な供給を抑える法整備が必要です。

2. 行政と民間の連携強化

保健所の収容・譲渡業務と、民間保護団体の里親マッチング・一時預かり・しつけ支援を統合した、全国ネットワークの構築を目指すべきです。国や地方自治体が予算を配分し、専門家を配置する仕組みが必要です。

3. 殺処分の透明化とゼロを目指す目標設定

各市町村の殺処分数を公開し、ゼロを目指す具体的な目標と期限を設定すべきです。欧米の先進国では、多くの地域で殺処分ゼロを達成しています。日本も、政治の意思と社会的合意があれば、可能です。

4. 保護犬・保護猫への社会の理解を深める

「雑種は性格が不安定」という誤解を払拭し、保護犬・保護猫が素晴らしい家族になることを広く伝える啓発活動が必要です。企業やメディアの協力も不可欠です。

最後に

ソラは今、私の家族の一員として、毎日を穏やかに過ごしています。彼女は雑種だからこそ、病気に強く、人に対して深い信頼を寄せ、誰にでも優しい性格を持っています。

彼女の存在が、私に「命の価値は血統ではない」ことを教えてくれました。

もし、あなたが家族に迎える伴侶を探しているのであれば、ぜひ保護犬・保護猫をご検討ください。彼らの中に、あなたの心に「ピンと来る」一匹が必ずいます。

私たちは、不動産で「想い」を繋ぐように、命の「想い」も繋ぎたいと考えています。

殺処分ゼロの社会を、一緒に目指しませんか。